村ではレムールは買えぬ
【むらではれむーるはかえぬ】
レムール(の幼獣)に手を出してはならない、という教えから転じて、分際をまきまえよ、の意。
(金銭欲が目的で)レムールの幼獣に手を出して親レムールを怒らせれば、村ごと亡ぼされてしまう。
皮肉なことに、この言葉は「レムールに亡ぼされた部族」として有名なリーネイク族に伝わっていたものだった。恐らく、はるか昔に、リーネイク族の先祖たちもまた、レムールの子に手を出して親レムールの怒りを買い、村ごと亡ぼされた他の部族の悲劇を目撃したか、あるいは伝聞で知り、自分たちの子孫が同じ目に遭わないよう、代々伝えるよう言い聞かせてきたのだろう。
訳注
レムール
古代より数多の神話や伝説、文学や歌、美術品などでその圧倒的な強さ、美しさを称えられ、またその恐ろしさが伝えられてきた。
個体数は非常に少ないが、遭遇すれば死は確実と言われ、「絶対の死」の象徴にもなっており、レムールに滅ぼされた民族や村なども実在する。
レムールには気品や気高さ、誇り高さといったイメージもあり、王族や貴族の紋章などにもよく用いられていた。
リーネイク族
かつて、ラディール大陸北西部の大森林に居住していた部族。
レムールの幼獣を捕獲して売ろうとした愚か者たちのせいで親レムールの怒りを買い、襲撃されて亡びたことで有名。 この悲劇を題材としたノンフィクション傑作『消された部族』の作者として知られるジルーディ・ラーグルがレムール襲撃唯一の生存者にしてリーネイク最後の一人であり、彼が子を残さなかったため、彼の死とともにリーネイク族は完全に亡びた。