レムールの子を殺せば村が死ぬ
【れむーるのこをころせばむらがしぬ】
レムールの恐ろしさを伝える言葉。
元は「人を殺せば人が死ぬ、レムールの子を殺せば村が死ぬ」だったが、前半が省略されて用いられるようになった。
皮肉なことに、この言葉は「レムールに亡ぼされた部族」として有名なリーネイク族に伝わっていたものだった。恐らく、はるか昔に、リーネイク族の先祖たちもまた、レムールの子に手を出して親レムールの怒りを買い、村ごと亡ぼされた他の部族の悲劇を目撃したか、あるいは伝聞で知り、自分たちの子孫が同じ目に遭わないよう、代々伝えるよう言い聞かせてきたのだろう。
リーネイク族唯一の生存者にして最後の一人であるジルーディ・ラーグルの著作『消された部族』がベストセラーとなったことで、作中で引用されたこの言葉が有名になった。
訳注
レムール
「野獣の王」と呼ばれる最大最強の陸上肉食動物。
古代より数多の神話や伝説、文学や歌、美術品などでその圧倒的な強さ、美しさを称えられ、またその恐ろしさが伝えられてきた。
個体数は非常に少ないが、遭遇すれば死は確実と言われ、「絶対の死」の象徴にもなっており、レムールに滅ぼされた民族や村なども実在する。
レムールには気品や気高さ、誇り高さといったイメージもあり、王族や貴族の紋章などにもよく用いられていた。
リーネイク族
かつて、ラディール大陸北西部の大森林に居住していた部族。
レムールの幼獣を捕獲して売ろうとした愚か者たちのせいで親レムールの怒りを買い、襲撃されて亡びたことで有名。 この悲劇を題材としたノンフィクション傑作『消された部族』の作者として知られるジルーディ・ラーグルがレムール襲撃唯一の生存者にしてリーネイク最後の一人であり、彼が子を残さなかったため、彼の死とともにリーネイク族は完全に亡びた。
『消された部族』(ジルーディ・ラーグル)
ラディール大陸北西部の大森林に居住していた一部族であるリーネイク族がレムールを怒らせ、亡ぼされた、野獣による被害としては最も悲惨なもののひとつとして数えられる事件についての、衝撃の記録文学。
著者のジルーディ・ラーグルは、「消された部族」最後の一人であることで知られる。
本書はレゴールの文壇に絶賛され、大ベストセラーとなった。「亡ぼされた部族の最後の一人」という話題性もあって、著者ジルーディ・ラーグルは一躍、レゴールの大人気作家となった。
現在でも出版されている、唯一のリーネイク語による文学作品でもある。そして今後、増えることは恐らく、あるまい。エレルリーズ書店では、この原書リーネイク語版(原書は、リーネイク語とレゴール語の併記となっていた)も復刊し、常時扱っており、レムール博物館内にあるレムール関連書籍専門書店のレムール書房でも、ジルーディ・ラーグルの直筆原稿をそのまま書籍化したものを受注生産している。