生贄とするは生贄花に非ず

【いけにえとするはいけにえばなにあらず】

悪事を他者のせいにすること。冤罪。物事の真実について語る時の常套句となっており、歴史書などで頻出する表現。

生贄花とは、リューレリーの数多くある呼称の一つ。若さ、美貌を得られるが、精神を狂わせるという致命的な代償を負うことから、生贄花という恐ろしげな呼び名がつけられている。

忌まわしい話だが、この花を使い、「美しい人間を作ろう」と考える者は、古代から絶えなかった。自分自身が美しくなりたくて摂取し、自滅するだけならまだ可愛げがあるほうで、この花を「他者に」摂取させる者も多く、おぞましいことに、自分の娘や妻に摂取させる者すらいた。

確かにリューレリーは恐ろしい花ではあるが、「生贄に使う」のは人間である。

この言葉の由来は、ルウェイン文学を代表する文豪エリル・イーレアの傑作『リューズレイ』『美の契約』といった、ラヴェニール文明、セレンディール人を題材とする一連の作品群から。エリル・イーレアが「忌まわしきはリューレリーならず」をもとにして生み出した造語。

訳注

エリル・イーレア

ルウェイン文明が生んだ最高の文豪の一人。主にラヴェニール文明時代を題材とした傑作群を執筆し、ルウェイン文明の人々の「ラヴェニール文明史観」に、歴史家以上の決定的影響を与えたと言われるほどの影響力を及ぼしたとされる。

代表作は『リューズレイ』『物語の神』『美の契約』『ルウェイン』など。

「レナティス」三部作などで知られるエリーレル・リュールディや、『一夜限りの音』『セレンディール』などで知られる、シーレア・レルークなどは、エリル・イーレアから「多大な影響」を受けたと公言していた。

エリル・イーレア作品の中でも最も人気の高い『リューズレイ』は、ヴァリド・イルーディス(映画監督)やルーゼル・イーリー(旋律画家)を始め、映画や旋律画、絵画作品など、他の分野の偉大な芸術家たちにも愛され、新たな多くの傑作を生み出す源となっている。

エリル・イーレアの名を冠した「エリル・イーレア文学院」がラヴェニール教によって創立・運営されており、同学院は、「ルドルーズ文学院」と並んで、文学系教育・研究機関の最高峰として世界的によく知られている。