チャグラ・レドル移し
【ちゃぐら・れどるうつし】
復讐に生きること。
訳注
チャグラ・レドル
ヴェリアートの音楽家、犯罪者。「レムンの復讐者」の呼び名で知られる、最も知名度の高い犯罪者の一人。
周りから一心同体のようだと言われるほど、誕生日も同じで、生まれた時からずっと一緒にいたレムンのチャムを、ギャングたちの抗争に巻き込まれて殺され、圧倒的な喪失感、絶望のあまり発狂しかけた後、底知れぬ憎悪に身を焦がして、そのギャングのメンバー達を数十年かけて一人一人、凄惨な方法で復讐していき、最終的にチャム殺しに関わった全ての人間を全員、殺して復讐を完遂したことから、「レムンの復讐者」と呼ばれる。
最後の一人を殺して復讐を完遂した直後に自首してヴェリアート重犯罪人刑務所に収容され、生涯、監獄にてチャム、そしてレムンという生物たちへの贖罪としてレムンを題材とした音楽作品を書き続けた。囚人達および看守には敬意を払われ、聖人のような扱いだったという。
獄中で書き上げた《チャムと、人間に殺されたレムン達への鎮魂曲》は、今なお、名曲として演奏され続けており、《動物たちへの鎮魂曲》と並ぶ、レムンの葬式で演奏される定番曲となっている。
レムン音楽家としても名を残しており、幼少時に、チャムを喜ばせるために作曲した《チャム》と題した一連の作品をはじめ、レムン・ミュージックの名曲を数多く書いている。
数十年もの間、名の知れた組織のメンバーを殺し続けながらも結局、最後の一人を惨殺するまでの間、当局のみならず、犯罪組織側にも捕まらなかったことからもわかるように、幼少時より極めて高い知能で知られていた。
ヴェリアートでは元々有名だったが、ニーネル・コムゼによる傑作ノンフィクション『レムンの復讐者』が大ベストセラーになったことで、世界的にも有名な存在となった。犯罪者、それも猟奇的大量殺人犯でありながら、敬意を抱かれている特異な人物。
レムン
古より人類最古にして最良の友、と称され、「親愛」「友情」「優しさ」などの象徴とされてきた動物。非常に友好的で賢いため、家族として共に暮らす人が多い。
レルンという陸上最大級の草食動物との極めて緊密な共生関係は有名。レムンがレルンの幼獣の世話をしてやり、レルンはレムンに強くなつき、レムンが天敵などに襲われると凶暴化して徹底的に戦う。この生態は古代より地域・時代を問わず多くの人々の関心をひいてきたらしく、レムンとレルンの関係をモチーフにした神話や民話、ことわざや文学、美術や工芸が生み出されてきた。

「○○移し」
「○○移し」という表現は、ラヴェニール文明時代の、絶対美を表す言葉「夕移し」から派生したものであるとされており、史上初の世界統一をなしたセレンディール文明誕生直後に起こった、世界規模の怒濤とも言える文化交流の中で多くの派生語を生んだ。
すでに馴染んでいる事象や固有名詞と簡単に組み合わせて、誰にでも意図が伝わりやすく、シンプルかつ調子良く語尾をしめる造語をしやすいことから、現在でも(粗製濫造気味に)造語され続けている。実際、「何でも移し」(安直な発想の意)など、この「移し」を利用した造語自体を揶揄することわざもあるほど。
特に多いのが、セレンディール文明誕生以前の有名な人物名との組み合わせで、由来となったラヴェニール文明時代には、個人名との組み合わせ表現は見られないことから、その差異が研究対象になるなど注目された。